月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。


 精霊の言葉が間違っていないのなら、ティナはラーシャルード神から愛された人間、ということになる。しかし、精霊はティナに何かを感じ取ったようだ。

《まあまあ! あなた、たくさん持っているのね!》

《あらら、本当ね。ラーシャルード様の寵愛とフローズヴィトニルからの親愛、それに……》

《精霊の祝福まで! こんな人間を見たのは初めてね! すごく珍しいわ!》

「え? え?」

 ティナは精霊たちの会話に付いていけず、困惑してしまう。どれも初めて聞くことばかりなのだ。

「あの、フローズヴィトニルって……」

《あら、知らなかったの? あなたと一緒にいる小さい子よ》

《本当なら太古の森にいるはずよね。どうしてこんなところにいるのかしら?》

《フローズヴィトニルは私たち精霊の仲間のようなものよ》

「えっ?! アウルムがっ?!」

 ティナは驚きながら、思わずアウルムを見た。
 アウルムは金色の瞳をきょとん、とさせてティナを見上げている。

 ノアに教えられるまでずっと魔物だと思っていたアウルムは<聖獣>で、しかもその性質は精霊に近いらしい。