月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

 視界いっぱいに広がる湖は、吸い込まれそうなほど深く美しい青色で、太陽に照らされた湖面はキラキラと輝いている。
 そして何より、ティナを感動させたのは湖やその周りを飛んでいる光の塊たちだ。

 光の塊たちはふわふわとあちこちを飛び回り、とても生き生きしているように見える。

 よく周りを見渡してみれば、鮮やかな花が四季関係なく咲き誇っており、そこにも光がたくさん舞うように飛んでいる。
 満開の花弁に光の塊が止まっている姿は、まるで花のベッドでお昼寝をしているかのようだ。

「ア、アウルム……っ! こ、この光たちって……!!」

『精霊なのねー。こんなにたくさんいるのは初めて見るよー』

「や、やっぱり……!!」

 ティナは嬉しさのあまり叫びそうになる。ようやくこの目で精霊を見ることが出来たのだ。それはティナの魔力が安定したことに他ならない。

「すごい……っ!! すごいすごいっ!! すっごく綺麗!!」

 ティナは「すごい」を連発する。もうすご過ぎてそれ以外の言葉が出てこないのだ。

《あらー? お客さまー?》

「ふぁっ?!」