月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

 気持ち良さそうに撫でられているアウルムを見ると、寂しさが紛れるような気がする。

「……嬢ちゃんは気になることが沢山あるようじゃの」

 今度はノアがカルキノスのスープを啜りながら聞いてきた。

 どうやらティナが思い悩んでいることは顔に出ていて、バレバレだったようだ。

「あ……えっと、その……」

「ふぉっふぉっふぉ。嬢ちゃんがここに来て一ヶ月になるでな。そろそろ精霊王の湖を探しに行く頃合いじゃろて」

「それは……。そうなんですけど……」

「んん? それとも誰か待っておるんかいな?」

 ノアの言葉にティナはドキッとする。人の考えを読むのも大魔道士級である。

「いや……! そう言う訳じゃないんですけど……っ!!」

「何じゃ。待ち人が来るまでここで待って居ればええじゃろて」

「……多分、それは無理なんじゃないかな……?」

 この広い世界で、ティナがここにいると予想できる人間がいるだろうか。
 月下草のことを話したアデラなら、もしかするかもしれないけれど。

「そうか? 嬢ちゃんの待ち人なら只者じゃなかろうて。案外近くまで来とるかもしれんぞい?」

「えっ……」