(……今ならまだ間に合う。違う、これはまだ本気じゃない。トールだって突然のことに驚いただけ……)
聖女だった頃、ティナは感情をコントロールする術を身につけた。聖女が持つ力は、全ての者のために使い、平等に与えなければならない。そこにティナ個人の感情は不要だったのだ。
「──そう、これは恋じゃない」
ティナは自分を戒めるかのように、繰り返し繰り返し呟いた。
それからしばらくして、ティナの心が冷静になり、落ち着いたところで、応接室の扉がノックされた。
「ティナ。面接が終わったよ」
「あ、はーい」
トールに声を掛けられて扉を開けると、機嫌が良さそうなトールが立っていた。
「その様子は……もしかして、許可を貰えたの?」
「うん、もちろん! ギルド長に僕の誠意をたっぷりと伝えたら、渋々だったけれど何とかご理解いただけたよ」
ティナはベルトルドがこんな短時間で許可を出したことに正直驚いた。
少なくともトールの実力を計るために冒険者の誰か、もしくはベルトルド本人と対戦すると思っていたのだ。
聖女だった頃、ティナは感情をコントロールする術を身につけた。聖女が持つ力は、全ての者のために使い、平等に与えなければならない。そこにティナ個人の感情は不要だったのだ。
「──そう、これは恋じゃない」
ティナは自分を戒めるかのように、繰り返し繰り返し呟いた。
それからしばらくして、ティナの心が冷静になり、落ち着いたところで、応接室の扉がノックされた。
「ティナ。面接が終わったよ」
「あ、はーい」
トールに声を掛けられて扉を開けると、機嫌が良さそうなトールが立っていた。
「その様子は……もしかして、許可を貰えたの?」
「うん、もちろん! ギルド長に僕の誠意をたっぷりと伝えたら、渋々だったけれど何とかご理解いただけたよ」
ティナはベルトルドがこんな短時間で許可を出したことに正直驚いた。
少なくともトールの実力を計るために冒険者の誰か、もしくはベルトルド本人と対戦すると思っていたのだ。



