月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

 トールは逸る気持ちを抑え、必要な物資を街の市場で購入すると、滞在することなくフラウエンロープへと出発する。

 そうして、日が沈み遠くの稜線が闇に溶け、夜空に星が瞬く頃、トールの行手を阻む者たちが現れた。

「チッ……!!」

 1秒でも早くフラウエンロープへ行きたいのに、邪魔をされたトールの怒りが膨れ上がる。

「っ、皆の者かかれっ!!」

 トールの威圧に一瞬怯んだものの、暗殺者集団のリーダー格の男が手下達に号令をかけると、十人もの暗殺者達が一斉にトールへと襲いかかった。

「うおおおおおっ!!」

「死ねっ!!」

「おりゃああああっ!!」

 トールは馬から飛び降り、背負っていたツヴァイハンダーを手にすると、暗殺者達からの攻撃を次々といなしていく。

「ぎゃぁっ!!」

「ぐは……っ!!」

 漆黒のツヴァイハンダーが煌めくたびに、暗殺者達が倒されていった。

 結局、ほんの数分で、十人いた暗殺者は全員地に沈められている。

 魔法を使うまでもなく、トールは呆気なく暗殺者を全滅させたのだ。