月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

「えへへ。料理上手じゃありませんけど、食材をたくさん持っていますから」

 それからティナは、いつの間にか眠っていたアウルムを起こさないように、料理を作り始めた。
 街で買ったチーズやソーセージなどの加工品も惜しむことなくふんだんに振る舞った。

 野菜たっぷりのラタトゥイユにミートボールを入れて旨みを足した煮込み料理や、ソーセージにハーブや野菜をベーコンで巻いた炭火焼き、木の板に魚や野菜を載せて蒸し焼きにする燻製料理など、何品も作っていく。

「……おぉ、おお……っ!! な、なんて美味そうなんじゃ……!!」

『ティナー。ごはんー? いい匂いがしてるのねー』

 ノアが感嘆の声をあげ、匂いに目を覚ましたアウルムが起きてきた。

「ふふ、たくさん作りましたから、いっぱい食べてくださいね。残ったら倉庫に保存していただいてもいいですし」

「お、おお!! それは嬉しいわい!! しばらくは美味い食事が食べられるわい!」

 ティナの料理にノアは大喜びだ。アウルムもしっぽをブンブン振って食べている。
 大量に作ったつもりだったが、意外にノアは大食漢で、料理はみるみるうちに減っていく。