ノアとの会話は驚きの連続だ。まさか両親とも精霊に好かれていたなんて、ティナは思いもよらなかったのだ。

「きっと嬢ちゃんのご両親は善良な気質だったんじゃろな。だからここまで入ってくることを許されたんじゃろ。祝福までは授かってはおらんかったがな」

「え。祝福、ですか……?」

「そうじゃよ。精霊から祝福された者は、精霊王に会うことを許された者ということじゃよ」

「?!」

 ノアの話をまとめてみると、精霊王がいる湖に行くには、精霊から祝福される必要がある、ということらしい。
 きっと街で聞いた重い病気の人間を治すほどの力を持つ幻の湖の話も、精霊王の湖のことだろうと、ティナは確信している。

「ワシは湖に行ったことがないからのう。月下草がそこにあるかどうかはわからんが、行ってみる価値はあるじゃろて」

「でも……精霊の祝福がないと、辿り着けないんですよね? どうすれば祝福を授かることが出来るんですか?」

 精霊の姿が見えないティナが精霊から祝福を受けるためには、まず精霊が見えるようになる必要があるかもしれない。