月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

「ふふ、すっごく嬉しい! ありがとうね」

 ティナはアウルムにぎゅっと抱きついた。今はこの温もりが愛しくてたまらない。

 それからティナとアウルムはテントからあまり離れないように、周辺を散策した。
 人の手が入っていないらしい森の中はとても静かで、とても神聖な場所のように感じる。

「ねえアウルム。近くに魔物とかいない?」

『んー? いるよー。でも悪くないから安心してねー』

 姿は見えないが、近くに魔物がいるとアウルムは言う。だけど警戒する様子は全くないので、無害な魔物なのだろう。
 アウルムならきっと、危険な魔物がくればすぐに教えてくれるから、あまり怖がる必要はないのかもしれない。

「ここって森のどのあたりなんだろうね。だいぶ奥まで来たのかな?」

 アウルムが運んでくれたから、どれぐらいの距離を進んだのか感覚が掴めない。
 しかし人の気配がないから、かなり奥に来たのだろうと予想したティナだったが……。

『まだ入り口だよー。もっともっと奥までいけるのねー』

「えっ?! そうなの?」

 広い森だと思っていたが、そんなに広いと思っていなかったティナは驚いた。