月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

 これから行われる会議は、国の行く末を決まるための大事な会議だ。
 トールヴァルドが帰国してから、それほど日が経っていないにも関わらず開かれることを考えると、今後のトールヴァルドの処遇をどうするかが議題に上がると予想される。

 恐らく、なし崩し的にトールヴァルドの婚姻の話まで話が進むだろう。

「じゃあ行こうか」

「はい」

 フロレンツがトールヴァルドの緊張をほぐすように笑顔を向ける。
 この兄は昔からトールヴァルドを気遣ってくれるのだ。

「フロレンツ殿下とトールヴァルド殿下が到着されました」

 扉の前にいた衛兵がトールヴァルドたちの到着を告げると、会議室の扉が開かれた。

 会議室の中にいたのはこの国の閣僚たちで、それぞれが強い権力を持っている大貴族だ。

 トールヴァルドたちが会議室に足を踏み入れると、閣僚たちが全員立ち上がり、恭しく礼をとった。

 頭を下げている閣僚たちの間を進み、上座にフロレンツが、その隣にトールヴァルドが腰をかけた。

 全員揃ったところで、議長らしき閣僚が立ち上がり、大会議の始まりを告げる。

「それでは会議を始めましょう。まず最初に──」