ティナたちが宿から出ようとした時、ティナたちに気づいたルリが声をかけてきた。

「うん、行きたい場所があるからね。それに早く宿を出ないと、ずっと居たくなっちゃうし」

 実際、ここ「踊る子牛亭」はとても居心地が良かった。それに精霊が休みに来る宿ということもあり、月下草のことがなければもっと長く滞在していただろう。

「ずっと居てくれて良いのに……すごく残念です……!」

 そう言ったルリはすごく寂しそうな表情をした後、キリッとした顔になった。

「あ、あの……っ!! もしよければ、獣魔さんを撫でてもよろしいでしょうかっ?!」

「えっ?! えっと、アウルムが良ければ……って、アウルムはどう? 大丈夫?」

『いいよー』

 ティナがルリに許可すると、ルリの顔がぱぁああっと輝いた。

「わぁ! 嬉しいです! 有難うございます! ずっと気になってたんですよ!」

 ルリは可愛いアウルムをずっと撫でたかったと言う。しかし食堂の仕事があったので、頼む機会がなかったらしい。

「うわぁああ〜〜〜っ!! すっごいもふもふ!! やだ可愛いぃ〜〜〜〜っ!!」