(トールって不思議だなぁ。気が付いたらいつの間にか仲良くなっていたし)
初めは聖女や王子の婚約者という地位に取り入るのが目的だと思い、ティナはトールを警戒していた。
それなのに他の生徒とは違い、彼に下心は無かったらしく、ただの学友として普通に接してくれた。
──その普通が、学院生活に憧れていたティナにとって、どれだけ有り難かったのか……きっとトールは気付いていない。
「これからティナはどうするの? やっぱり冒険者になるつもり?」
王宮でも神殿でもなく冒険者ギルドにいるティナを見れば、誰でもそう考えるだろうと思うものの、何となくトールの言葉に確信めいたものを感じ取る。
「うん、もう登録は済ませたし、これからは冒険者として活動するつもりだけど……」
違和感を感じながらもトールには既に気付かれているし、隠す必要はないだろうと、ティナは正直に打ち明ける。
「あ、だけどしばらくはこの国を離れると思う。ちょっと用事があって──」
「この国を離れる?! どうして?!」
「えっ!? えっと……」
国を離れると言った途端、トールが超反応する。
ティナは戸惑いつつも、両親が最後に訪れた隣国、クロンクヴィストに行ってみたいのだと説明した。
初めは聖女や王子の婚約者という地位に取り入るのが目的だと思い、ティナはトールを警戒していた。
それなのに他の生徒とは違い、彼に下心は無かったらしく、ただの学友として普通に接してくれた。
──その普通が、学院生活に憧れていたティナにとって、どれだけ有り難かったのか……きっとトールは気付いていない。
「これからティナはどうするの? やっぱり冒険者になるつもり?」
王宮でも神殿でもなく冒険者ギルドにいるティナを見れば、誰でもそう考えるだろうと思うものの、何となくトールの言葉に確信めいたものを感じ取る。
「うん、もう登録は済ませたし、これからは冒険者として活動するつもりだけど……」
違和感を感じながらもトールには既に気付かれているし、隠す必要はないだろうと、ティナは正直に打ち明ける。
「あ、だけどしばらくはこの国を離れると思う。ちょっと用事があって──」
「この国を離れる?! どうして?!」
「えっ!? えっと……」
国を離れると言った途端、トールが超反応する。
ティナは戸惑いつつも、両親が最後に訪れた隣国、クロンクヴィストに行ってみたいのだと説明した。



