「……っ、うん……本当はずっと無理してたと思う。でも、そうしないとダメだったから……」
ティナは本当の自分にトールが気付いてくれたことを嬉しく思う。
聖女の肩書きだけならまだ良かった。だけど、王子の婚約者にされてしまうと、今まで通り振る舞うわけにはいかない。
いくら聖女としてその価値を示しても、平民だったティナが王子妃に選ばれたことを快く思わない貴族は沢山いる。隙あらばティナを蹴落とそうとするはずだ。
本当は聖女にも王子妃にもなりたくはなかった。けれど、ティナのちっぽけなプライドが、謀略にかかり権力に屈するのを許さなかったのだ。
「頑張って貴族令嬢のように振る舞う君も可愛かったけど、やっぱり今の君の方が何倍も可愛い」
「?!」
突然トールに直球で褒められ、ティナは今日何度目かわからない赤面をする。
前から物怖じしないタイプだったけれど、今日のトールはかなり積極的だ。
「……あ、有難う」
ティナの頭の中はすでにいっぱいいっぱいで、お礼を言うのが精一杯だった。
(おかしい……。トールってこんなに女の子慣れしてたっけ……?)
学院でのトールは、ボサボサの髪の毛が目元を隠している上に眼鏡を掛けているので、かなり野暮ったかった。
だから女生徒達からは相手にされておらず、ティナ以外に仲が良さそうな女生徒はいなかったと記憶している。
だけど背が高いので妙な迫力があるのか、馬鹿にされているところは見たことがない。
ティナは本当の自分にトールが気付いてくれたことを嬉しく思う。
聖女の肩書きだけならまだ良かった。だけど、王子の婚約者にされてしまうと、今まで通り振る舞うわけにはいかない。
いくら聖女としてその価値を示しても、平民だったティナが王子妃に選ばれたことを快く思わない貴族は沢山いる。隙あらばティナを蹴落とそうとするはずだ。
本当は聖女にも王子妃にもなりたくはなかった。けれど、ティナのちっぽけなプライドが、謀略にかかり権力に屈するのを許さなかったのだ。
「頑張って貴族令嬢のように振る舞う君も可愛かったけど、やっぱり今の君の方が何倍も可愛い」
「?!」
突然トールに直球で褒められ、ティナは今日何度目かわからない赤面をする。
前から物怖じしないタイプだったけれど、今日のトールはかなり積極的だ。
「……あ、有難う」
ティナの頭の中はすでにいっぱいいっぱいで、お礼を言うのが精一杯だった。
(おかしい……。トールってこんなに女の子慣れしてたっけ……?)
学院でのトールは、ボサボサの髪の毛が目元を隠している上に眼鏡を掛けているので、かなり野暮ったかった。
だから女生徒達からは相手にされておらず、ティナ以外に仲が良さそうな女生徒はいなかったと記憶している。
だけど背が高いので妙な迫力があるのか、馬鹿にされているところは見たことがない。



