月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

 もう一泊すると決まったティナは、今度こそ精霊に会うのだと気合いを入れる。
 しかし相手は”居眠りの精霊”だ。気を抜くと眠らされてしまうかもしれない。

「はーい、お待ちどうさまー!」

 ティナたちが席に座ってからしばらくすると、昨日と同じ給仕の少女が朝食を運んで来てくれた。

 目の前に置かれた皿の上には、新鮮なサラダや目玉焼きにソーセージが乗っていて、ボリュームたっぷりだ。
 カゴに入れられたパンも焼きたてで、半分に割るとほんのりと湯気が立っている。
「美味しいー! このソーセージプリプリ!」

 昨日の料理も美味しかったが、朝食もとても美味しく、ティナは大満足だ。
 アウルムに出された肉も軽くボイルしてあり、食べやすいように切られていた。

「お口に合いましたか?」

 ティナが嬉々として料理を食べていると、給仕の少女が嬉しそうに聞いて来た。

「はい! もうすっごく美味しいです! 毎日でも食べたいぐらい!」

 お世辞でも何でもない、素直な感想を言うと、少女がにっこりと微笑んだ。

「私の母が料理担当なんです! そう言って貰えると母も喜びます!」

「え? お母さんが?」