ティナはアウルムの言葉を聞き、再び胸が高まりワクワクするのを感じる。

 先ほど”今は見えない”、とアウルムに言われガッカリしたティナだったが、よく考えたらアウルムは見えないと言っただけで、いないとは言っていなかったのだ。

「じゃあ、今夜起きていたら会えるかな?」

『わかんないー。でも多分出てくるかもー』

 本当は今日この宿を出て森の中へ進む予定だったが、精霊に会える可能性があるのなら、もう一晩泊まりたい、とティナは思う。

「ねぇ、アウルム。もう一日ここに泊まってもいいかな? 私、どうしても精霊さんに会ってみたいの」

『いいよー。僕はティナのそばにいるよー』

「ふふ、嬉しいな。有難うね。じゃあ、ご飯食べに行こっか。もう一泊出来るか聞いてみないとだし」

『わーい! ごはんー!』

 ティナとアウルムは一階へと降りて行き、受付にいた主人に声を掛けた。

「おはようございます」

「おう、おはようさん。……お、よく眠れたみたいだな。”居眠りの精霊”でもやって来たか?」

「え? ”居眠りの精霊”、ですか?」