月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

 これから先、魔物だけでなく盗賊なんかにも遭遇するかもしれない。それに徒歩の旅人なんて格好の餌食だろう。

「ねぇ、アウルム。馬を買おうと思うんだけど、アウルムはどう思う?」

『うまー? ティナはうまに乗りたいのー?』

 ティナは生き物を飼うことを独断で決めるのは良く無いと思い、アウルムに聞いてみる。アウルムも大事な旅の仲間なのだ。彼が反対すれば馬の購入を諦めるつもりでいる。

「その方が早くフラウエンロープに着くし、楽かなぁって」

 アウルムと一緒に馬で走るのも良いし、疲れたら乗せてあげられるので、とても良い考えだとティナは思ったのだが。

『だったら僕に乗せてあげるよー』

「へ?」

『僕の背中に乗せてあげるよー』

「いやいやいや! 私がアウルムに乗ったら潰れちゃうよ?!」

 そもそも、どう見ても子犬サイズのアウルムにティナが乗れる訳がない。

『もう足りたからー。足りたから乗せてあげられるのー』

 アウルムの言葉を翻訳すると、今まで足りていなかった魔力か何かのエネルギーがもう貯まった……ということらしい。

「じゃあ、もうアウルムはすっかり元気になったってこと?」