月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

(どういうこと……?! アウルムが嘘をつく訳がないし、誰かが意図的に瘴気を撒いているってことだよね……)

 思いがけないところから怪しい情報を得たティナは、神殿に知らせるべきかどうか考える。

「うーん、それとなく大神官様に手紙を送ってみようかな……。結局挨拶出来ないままだし……」

 神殿の上位神官たちは碌でもなかったが、大神官のオスカリウスは清廉潔白な人だった。
 孤児になったティナを可愛がってくれたお爺ちゃん的存在だ。

 ティナが聖女になってからはお互い忙しく、中々顔を合わせる機会はなかったが、それでも会った時はよく労ってくれたのだ。

 ただ、大神官にティナのことがどのように伝わっているかわからない。もしかしたらティナのことをすごく怒っているかもしれない。

(あ、そうだ! ベルトルドさんに手紙で知らせてみよう! ギルドでも調べてくれるかも!)

 聖女の存在に胡座をかいて、自分達の役目を放棄しているような上位の神官たちには正直腹が立つが、下位の神官たちはよく頑張ってくれていた。
 いつでも苦労するのは下の者たちなのだ。そんな彼らが苦労するのは忍びない。