『お肉が食べられたらどっちでもいいよー』

 アウルムの行動原理はお肉一択で、お肉さえ食べられればどこで過ごしても平気らしい。

「じゃあ、一回野営してみようか。これからは野営することが増えるだろうし、本格的に旅を始める前に練習してみたいの」

 今まではトールやモルガンたちと一緒に野営をしたが、ティナ一人で野営を経験したことは無かった。
 しかも設営などもほとんど彼らがやってくれたので、一度自分一人で野営が出来るのか試したかったのだ。

『いいよー。僕もお手伝いするよー』

「有難う。頼りにしてるからね」

『はーい! がんばるよー!』

 そうと決まれば善は急げ、日が暮れる前に設営を終わらす必要があると、ティナは急いで移動することにした。

 ティナたちが地図を見ながら目的地へ向かっていると、忙しそうな憲兵の姿が目にとまる。

(今日はやけに憲兵の姿を見るなぁ……。何かトラブルでもあったのかな?)

 憲兵たちは何かを探しているのか、みんながみんな慌ただしく動いていた。
 憲兵は主に若い女性に声を掛け、何かを確認しているようだが、当然の如くティナには気付いていない。