ティナはアウルムが言う「黒いの」が何か考え、あ、と思う。
 以前トールと幾つか予想を立てたことがあったが、アウルムは本当に瘴気にあてられていたらしい。

「そっか。黒いのって瘴気だったんだ。でも私が泣いたから戻ったって、さっきも言ってたけど……あ。もしかして涙のこと……?」

 昨日の夜、記憶を思い出して泣いているティナをアウルムが慰めてくれた。
 その時、アウルムがティナの顔を舐めていたことを思い出す。おそらくその時にティナの涙を舐めてしまったのだろう。

『ティナ泣いたら黒いの消えたのー。でもまだなのー』

 アウルムの言葉にはまだわからないことがあるが、ティナの涙が瘴気を浄化したことは確かなようだ。

「うーん、たくさん食べたらいいのかな?」

『いっぱいいっぱい食べたらたりるよー』

 もしかすると、瘴気にあてられていたアウルムは一見元気そうに見えて、本当は弱っていたのかもしれない。
 それが瘴気が消え身体が活性化したことで、たくさんのエネルギーが必要になっているのではないか……とティナは推理する。