月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

 トールはブレンドレル魔法学院に留学していたのだが、何故かそのことは伏せられていたらしい。

 ティナが不思議に思いながらも、神経を集中して会話を聞き続けていると、思いがけない情報が飛び込んで来た。

「戻られたということは、ついに第二王子殿下も結婚かねぇ?」

(…………えっ?! トールが結婚……っ?!)

 ティナはトールが結婚すると聞いて強い衝撃を受ける。

「殿下は誰と結婚するんだろうな。かなりの数の求婚状が届いてるって?」

「でも肝心の殿下が不在だったからな。まだ婚約者は決まってないんだろ?」

「色んな国のお姫様がよりどりみどりか……羨ましいぜ」

 ショックを受けて思考が停止しているティナを置いて、話がどんどん進んでいく。

「まあ、ようやくご本人が戻られたんだ。その内婚約者を発表するんじゃないか?」

「そうだな。第二王子殿下はかなり優秀らしいしな。きっと立派な婚約者を選んでくれるだろ」

「そうなりゃこの国も安泰だなぁ。そういや、第一王子殿下の方はどうなんだ?」

「上の王子殿下も最近は──……」