月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

『うんー。待つよー』

 聞き分けが良いアウルムはティナの膝の上に座り、大人しく料理を待っている。

「はーい、お待たせー!」

 そうして待つことしばらく、朝食が運ばれて来た。

『お肉ー!』

 待ちに待ったお肉にアウルムは大喜びだ。わふわふと肉に食い付いている。

 アウルムに癒されながら、ティナも食べようとカトラリーを手にする。
 昨日の料理も美味しそうだったが、目の前の料理もとても美味しそうで、すごく食欲をそそられる。

 そうしてティナが焼きたてのパンを堪能していると、気になる会話が聞こえて来てドキッとする。

「……でさ、そいつが第二王子殿下の姿を目撃したって言うんだよ」

「ああ、そう言えば姿を見なくなって結構経つな」

 聞こえて来たのはトールの噂だった。
 どうやらトールは無事王宮に戻ったようだ。きっと今頃豪華な王宮でのんびり寛いでいるだろう……あくまでティナの予想だが。

「病気とか失踪とか色々噂されてたけど、結局どうなんだ?」

「さぁなぁ……。ま、どっちにしろ無事戻られて良かったよな」