月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。


「──はい。早めの行動、ですよね」

 ティナの答えに、イロナは満足そうに頷いた。

「じゃあ、後は言わなくてもわかるわね?」

「はい……っ! イロナさん、本当に有難うございます……っ!」

 ティナは心の底からイロナに感謝した。
 きっと彼女に会わなかったら、今もなお自分の行動に自信が持てず、心が迷子になっていただろう。

「アネタが寝ているうちに出発しなさい。しばらくは寂しがるだろうけど、また会いに来てくれるでしょう?」

 アネタとアウルムはとても仲良しで、アネタがアウルムに懐いているようだった。
 だけどアウルムと主従関係なのはティナなのだ。
 ティナがモルガンたちと別れるのなら、アネタとアウルムも別れなければならない。

 きっとアネタは目を覚ますと号泣するだろう。
 しかし出会うことで成長するように、別れを経験することでもっと成長できるのだ。

 ティナはこの別れがきっと、アネタの成長に繋がるだろうと信じている。

「もちろんです! 落ち着いたら必ず会いに行きます!!」

「ふふ、楽しみに待っているわ」

 ティナは魔法鞄を持つと、アウルムと一緒にイロナと向き合った。