月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

 きっとトールはティナに許しを乞おうとするだろう。たとえティナが悪くても、彼は自分から歩み寄ろうとする人なのだ。

「ふふっ……。わかったわ。じゃあ、護衛の契約はここで終わりにしましょう」

「え……っ」

 ティナはイロナからの提案に驚いた。
 契約を終わるということは、モルガンたちとの別れを意味するからだ。

「任務完了の報告はこっちでやっておくわ。もちろん最高評価をつけておくから安心して。後始末はトール君に丸投げしちゃいなさい」

「え……っ、でも……っ!」

 突然のことにティナは困惑する。トールに会いたくないからといって、それがイロナたちと別れることになるとは、全く思わなかったのだ。

「ねぇティナちゃん。ティナちゃんの占い結果はどうだった?」

「あっ……」

 ティナは以前イロナに占って貰ったことを思い出す。
 不思議な記号が刻まれた白い石は、ティナの進む道を月明かりのように照らしてくれたのだ。

 ──豊かな実りと富を意味する<フェイヒュー>と、積極的な行動全般を意味する<ライドゥホ>。

「あの時の結果は『実を結ぶ』だったでしょう? でも対策は何だったか覚えてる?」