「私はティナの両親に命を助けられたことがあるからね。その時の恩を少しでも返せたのなら嬉しいよ。だからティナも気にしなくて良いんだよ」

 ベルトルドの優しさに触れて、ティナの胸に熱いものがこみ上げて来る。いつも彼はこうしてティナが気負わないように気遣ってくれるのだ。

「ほらほら、これが二人の残したものだよ。この箱を開けてみて」

 しんみりとした雰囲気をぶち壊すかのように、ベルトルドが大きな木箱を持ってきた。先程の金貨の袋とは比べ物にならないぐらい重量がありそうだ。

「えっと、じゃあ失礼して……」

 ベルトルドに促されたティナが恐る恐る箱を開けると、そこには溢れんばかりの白金貨と、宝石に何かの魔道具が入っていた。

「ひ、ひえぇ〜〜?! こ、これは……?!」

 白金貨一枚は金貨十枚分だ。それが大きめの箱に大量に入っている。
 他にも高そうな宝石などもあり、この箱の中身だけで立派な城が買えるぐらいの金額は十分ありそうだった。