月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

 きっと結界の効力が切れたら一斉に襲いかかってくるだろう。

(ど、どうしよう……っ!!)

 いくら強いヴァルナルでも、数の暴力には敵わないだろう。しかも相手は手練れ揃いなのだ。

 ──自分はどうなってもいい、だけどせめてティナだけはどうにかして逃がしてあげたい。

 奴らの狙いは自分なのだ。自分が囮になっている間に、ティナがどこかに隠れれば、きっと見つからずに済むだろう。

 トールが覚悟を決め、外に出ようとした時、誰かがトールの肩をポン、と叩いた。

「っ?!」

 驚いたトールが振り返ると、そこには倒れていたはずのリナがいた。