「くそ……っ! しつこ過ぎんだろ……っ!!」

 暗殺者が繰り出す曲刀──シャムシールを弾いたヴァルナルが、愛用するバスタードソードで最後の暗殺者を切り裂いた。

「はぁ、はぁ……っ、今度は南の『黒い月』かよっ! どんだけ必死なんだっ!!」

 連日行われる暗殺者の襲撃に、さすがのヴァルナルも疲労困憊だ。
 ちなみに今ヴァルナルに倒された一団は、南の方にある国で暗躍している組織の者たちらしい。

「ベルトルドに連絡がつけばいいが……今あいつは確か……」

 ヴァルナルはベルトルドと言う友人に連絡を取ろうとしたが、その友人は不在らしかった。ヴァルナルが頼るぐらいだから、かなり優秀な人物なのだろう。

 一時も気を休めることが出来ないのはヴァルナルだけでなく、リナもまた子供達を守るために奮闘していた。
 A級冒険者だけあって、リナも暗殺者を何度も撃退しているが、ヴァルナルほど体力がないリナはついに倒れてしまう。