(お父さんとお母さんが殺されたショックで記憶を失くしたと思っていたけれど……もしかして、それだけじゃ無い……?)

 何かに辿り着きそうなティナだったが、思い出そうとすればするほど頭に靄がかかり、何も考えられなくなる。
 まるで何かが思い出すことを邪魔しているかのようだ。

(うーん、もうちょっとで思い出せそうなのになぁ……)

 両親が殺されるところは思い出したくは無い、けれど、何かとても大切なことを忘れているような気がして、ティナは歯痒く思う。

(まあ、その内思い出すかもしれないし、焦ることない……よね……)

 ティナはいくら悩んだところで思い出せるが訳ない、と思考を放棄することにした。

 それからモルガン一行はいくつもの街を進み、順調にブライトクロイツへと馬車を走らせて行く。

 しかし、間もなく首都ブライトクロイツに到着というところで、ティナたちは思いもよらない事態に陥ってしまう。それは──

「お前たち男は積荷を全て下ろせっ!! 女子供は殺されたくなければ大人しくしろっ!!」