「俺もティナのおかげでぐっすりと眠れたよ。こんなに熟睡できたのは久しぶりだ。ティナが一緒に寝てくれたからかな。身体もすごくスッキリしてるし」

「ふぁっ?!」

「結界の効力もすごかったね。ティナなんて一瞬で眠っちゃったし。まあ、おかげで可愛い寝顔が見られたんだけど──」

「わーっ! わーっ!! し、静かにー!! 声を落としてっ!!」

 ティナは慌ててトールの言葉を遮った。モルガンたちに聞かれたらあらぬ誤解を招き、からかわれそうだったからだ。

「ふふっ、おはよう二人とも。今日も仲がいいわね」

「あっ! あわわ……っ!! イ、イロナさんっ!」

「おはようございます」

 ティナがトールの口を押さえようといているところを、バッチリとイロナに見られてしまう。
 そんな二人を、イロナは微笑ましげに眺めている。その瞳は全てを知っていると言わんばかりだ。

 実際、昨日起こった出来事など、イロナには全てお見通しなのかもしれない。

「よく眠れたからか、今日はすごく身体が軽いわ。モルガンもアネタもまだぐっすりよ。二人が寝ている内に食事の準備をしたいのだけれど……」

「あ! 手伝います!」

 イロナは深く追求すること無く、話題を変えてくれた。ティナはそんなイロナに感謝しつつ、気持ちを料理へと切り替える。