月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。





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 聖女時代の名残で早朝に目を覚ましたティナは、何かに包まれているような心地良い感覚に、もう一度眠りに落ちそうになる。

(う〜ん……気持ちいい……ずっとこのままでいたい……)

 いつもはすぐ身体を起こすティナであるが、今日は何故かここから出たくないと思ってしまう。

(抱きしめられるのがこんなに心地良いなんて知らなかったなぁ…………ん?)

 微睡みながら、自分が抱いた感想に違和感を覚えたティナが、はっ!と意識を覚醒させた。

(…………あれ? あれあれ? 今は一体どういう状況…………?)

 ティナの思考が急速に加速する。

 自分の身体の感覚を研ぎ澄ませてみると、どうやら自分はトールと同じ毛布の中で、抱きしめられながら眠っていたようだ。

(ぎゃーーーーーーーっ!!! どどど、どうなってるのっ?!)

 ティナは心の中で絶叫する。

 眼の前は真っ白で、それはショックを受けたわけではなく、トールが着ているシャツが視界いっぱいに広がっていたからだ。
 しかもティナの額にトールの胸板が当たっているし、彼の長い腕がティナの背中と腰に回されていて、すっぽりと抱き込まれている。
 よくよく感じてみれば、無意識だろうがティナもトールの背中に手を回していて、抱きついている状況だ。