「っ?! おやめくださいっ!! どうして今生の別れのようなことを仰るのです!! 私は貴女に忠誠を誓い、剣を捧げた騎士です!! それはこれからも変わりません!!」

 アレクシスがクリスティナを引き留めようと懸命に訴える。ここでクリスティナを連れ帰らなければ永遠に彼女を失うのではないか、とそんな予感がするのだ。

「貴方が捧げた忠誠は聖女に対してでしょう? 何度も言いますが、私はもう聖女ではなく冒険者です。私はトールと共にクロンクヴィストへ参ります」

 クリスティナが一度決めたことを曲げない性格なのは、アレクシスが一番良く知っている。彼女の意志は固く、アレクシスが何を言っても引き止めることは不可能だろう。

 アレクシスはならば、と最後の賭けに出る。

「──っ、でしたら!! 私はそこのトールという男に決闘を申し込みます!!」