「いい加減にしなさいっ!! トールは私の友人だと言ったはずです!! 彼を傷つけることは許しません!!」

「……っ?! クリスティナ様……?!」

「それに私はもう聖女でもクリスティナでもありません。今の私は冒険者のティナです!」

 クリスティナ──ティナはアレクシスに宣言した。その言葉は、これ以上関わるな、という拒絶の意味も含まれている。

「……っ、ど、どうして……っ!! 貴女を貶めたフレードリクは廃嫡され、聖女を騙った女共々重罰を与えられます!!」

「アレクシス」

「大神官様もクリスティナ様を心配されていますし、神殿の者も皆んな貴女のお帰りを待っているのですよ!!」

 クリスティナから拒絶の言葉を聞きたくないのだろう、アレクシスは彼女の問いかけには答えず、ただただ訴え続ける。

「私は神殿には戻りません」

「──っ?! な、何故そのようなことを……! あぁ、ご安心下さい! クリスティナ様の功績を横取りしていた老いぼれ共は全員処分しました!! 腐敗していた神官共はもういませんから! 私が聖国に行っていたのも、クリスティナ様を大聖女に、と教皇に進言するためで──!!」

「──アレクシス、有難う。貴方や大神官様には本当にお世話になりました。とても感謝しています」