月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

 アレクシスのその表情を見たアンネマリーは、彼がクリスティナに騙されていたと知り、彼女を軽蔑したのだと理解した。

 ならば、この美しい聖騎士はクリスティナを捨て、新しい聖女である自分にその心を捧げ、尽くしてくれる──! アンネマリーはそう信じて疑わない。

「──だからクリスティナ様からこの腕輪を取り返したのです! 腕輪も私を認めました! 私が魔力を流したら、簡単に外れたんです!」

 強欲なアンネマリーは、クリスティナから全てのものを奪うつもりだったが、こんなに美しい聖騎士がいるのなら、フレードリクをクリスティナに返してあげても良いだろう、と考えた。
 王妃の地位も魅力的だったが、美貌の聖騎士とともに国民から崇められる方が幸せかもしれない。
 そのためにはむしろフレードリクは邪魔なのではないか、と思ったのだ。

(……可哀想なクリスティナ様。でもフレードリク様に婚約破棄の撤回を口利きしてあげるわ。私は慈悲深い聖女ですもの!)

「……そうですか。この腕輪を外せた、ということは、貴女もかなり魔力が多いのでしょうか?」

「はいっ!! 魔力の量なら自信があります! ブレンドレル魔法学院では特待生ですし!」