「無理に<浄化>しなくてもいいと思うよ。でもクロンクヴィストに着いたら、アウルムと獣魔契約しなくちゃいけないと思うけど……大丈夫かな?」

「えっ?! 獣魔契約?! なにそれ!」

「魔物はそのままじゃ国内に入れることが出来ないんだ。国の中で暴れたら困るからね。だから主人と魔物を契約で結んで制御するんだよ。ちなみに魔物が起こした問題は全て主人の責任になるから」

「な、なるほど……! でもそりゃそうだよね。国民を守らなきゃ駄目だもんね」

 トール曰く、国境にある入国審査場で従魔契約の手続きが出来るらしい。

「高位の魔物と無理矢理従魔契約を結ぼうとして死んだ人もいるからね。従魔契約はそう簡単なことじゃないんだけど……まあ、ティナとアウルムなら大丈夫かな」

「し、死ぬ場合もあるの?!」

「魔物のレベルにもよるけどね。結構制約が多いから、契約を嫌がる魔物もいるんだよ。だから主人と魔物のレベルが違いすぎると、契約が拒否されるんだ」

 どうやら獣魔契約は一筋縄では行かないらしい。
 しかし考えてみると当然だろう。制約も何もなければ赤ん坊とドラゴンでも獣魔契約が結べてしまうことになる。
 クロンクヴィストでは魔物を悪用されないための法整備がしっかりと成されているようだ。

 アウルムはとてもティナに懐いている。それにティナはアウルムに制約をかけたい訳でも従わせたい訳でもない。

 しかし、従魔契約となると話は別だ。