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ティナたちとモルガン一家は、クロンクヴィストの国境まで後少しという所まで来ていた。
恐らく明日中にはクロンクヴィストに入国できるだろう。
(もうすぐこの依頼も終わっちゃうのか……寂しいなぁ……)
ティナたちが受けた依頼は、モルガン一家をクロンクヴィストの王都ブライトクロイツにあるバルテルス地区まで護衛することだ。
国境からバルテルスまでまだ二週間ほど掛かるとはいえ、あっという間に時間は過ぎてしまうだろう。
モルガン一家との別れは嫌でも訪れる──そう考えただけで、ティナの心に寂しさが込み上げてくる。
しかし両親が残してくれた形見でもある、月下草の種を栽培出来る場所を探すという目的は忘れていない。
それにイロナにお墨付きを貰ったのだ。ならば、後は行動あるのみだ。
「わふ」
「あ、アウルムおいで」
アネタと遊んでいたアウルムが、トコトコとティナのところへやって来た。どうやらアネタが眠ったらしい。



