月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

「そうね。ティナちゃんの行動は間違っていない、ってことね。逆に言えばティナちゃんが行動を起こしたから、やりたいことを成功させることが出来るんじゃないかしら」

「……っ」

「今までずっとティナちゃんは頑張ってきたのね……偉いわ。これからはティナちゃんの思うように生きてね。そして絶対幸せになるのよ。私の石たちもそう言っているわ」

 ティナは占いの結果とイロナの言葉に、憑き物が落ちていくような気分になった。

 本当はずっと心の中で、自分の行動は正しかったのかと疑問に思っていたのだ。
 自分が自由になりたいからと、今まで守り続けてきた国を──自分に信頼を寄せてくれていた大神官のお爺ちゃんと、聖騎士たちや神官たちを置いたまま出て行っていいのか……と。

「有難うございます……! イロナさんに占って貰えて本当に良かったです……!」

 ティナは思わず涙ぐみ、そして感謝した。

 これからは堂々と胸を張って生きて良いのだと、そう言われたような気がして。