「だからティナが必要ならいくらでも力を貸すぜ! 何でも言ってくれよな!」
「……っ! はいっ! 有難うございます! えへへ。すごく頼もしいです!」
モルガンの言葉で、自分は人々の役に立っていたのだと、実感出来たティナは嬉しくなる。
神殿の大神官にはそれが聖女の役割で、当然のことだとずっと言われていたのだ。
今まで聖女の腕輪のせいで、常に魔力を奪われていたティナだったが、今はもうその証も腕輪もない。
制限されず、自由に力を使うのが初めてなティナは、気合を入れて結界を構築する。
「えっと、じゃあ結界を張りますね! <サンクチュアリ>」
ティナが魔法名を唱えると、手のひらから光が溢れ、輝く粒子が空に舞い上がってドーム状の空間が形成される。
魔力の光が消えると、まるで何事もなかったように元通りになり、静寂が訪れた。
「へぇ……! すごく厚い魔力の障壁だね」
「え? え? 兄ちゃん見えるのか?! 俺にゃ何にも見えねぇぞ!」
トールがティナの結界に感心するが、モルガンは何が何だか分からないようだ。
「とても強固な結界だね。まるで城塞クラスだ。ティナ、魔力は大丈夫なの?」
「うん! 魔力は余裕! もっと丈夫な結界だって張れるよ!」
「いやいや、十分だよ。これ以上はオーバーキルなんじゃないかな」
ティナとトールの会話にモルガンは冷や汗をかく。<稀代の聖女>という称号は伊達ではなかったらしい。



