さっきまでそこに立っていた僕が歩道に倒れ、おびただしい血を流している。ひと目見て、死体だと分かる。

「っ叶多まで、私を置いていかないでぇ……っ!」

「っ、星伽! 俺はここだ、ここにいる!」

 青白い顔で二度と目を開ける事のない“僕”に縋りつき、彼女は泣きじゃくっていた。霊体(いま)の僕になど、見向きもしない。

《無駄だよ。特別、彼女に霊感がない限り、キミの声は届かない》

 いつの間にか、さっきの天使がすぐそばに立っていた。

《キミの姿は、彼女には見えないんだ》