震える手でスマホを手にし、誰からの電話なのか確認する。画面に映った名前に、絆は少し泣きそうになりながら電話に出た。

「もしもし」

『もしもし、絆。起きてた?』

電話の相手はオスカルだった。明るく、それでいてどこか甘いその声に、絆の体の震えが収まっていく。

「どうしたんですか?」

絆が訊ねると、オスカルは嬉しそうな声で言った。

『絆、デートしよう!』

「えっ?」

それは、突然のデートのお誘いだった。



日曜日、絆は白いワンピースの上にコンバースジャケットを羽織り、手首に星をモチーフにしたブレスレットをつけ、ライトイエローの靴を履き、バッグを手に待ち合わせ場所に指定されたカフェへと向かう。すると、どこかシックな雰囲気のカフェの前には、すでにオスカルが待っていた。

(えっ、もういるの?まだ待ち合わせ時間の十五分前のはず……)

絆は少し驚き、バッグの中に入れてあるスマホで時間を確認してしまうほどだった。オスカルは真剣な表情でスマホを見ており、思わず絆は隠れてチラリと彼の様子を見てしまう。