あの時に言われた言葉は、こういうことだったのだとわかり、絆の体にゾクリと得体の知れない恐怖が走る。

震える手で絆は辞書よりも分厚い操作資料をめくっていく。小宮山光里の事件についても、資料にきちんと書かれていた。

「光里姉、ちゃんと事件を解決して、必ず犯人に罪を償わせるから……」

血まみれになって倒れている光里の亡骸の写真を、絆は指先で優しく触れる。どれだけ痛かっただろうか、怖い思いをしただろうか、そう考えると絆の瞳に涙が浮かんだ。

「犯人は、光里姉を殺害する前からこんなにも人の命を……」

次は一体誰が命を奪われるのだろうか。被害に遭った人たちは何の罪もない一般市民だ。そして、彼らには少し先の未来に幸せが確実に待っていた。それを、無慈悲に奪われたのだ。

「ッ!」

絆の体が小刻みに震えていく。すると、ソファの上に置かれた絆のスマホが振動し始めた。誰かから電話が来たようだ。

「誰から?」