「オスカルさん、あの写真は誰なんですか?」

テーブルの上に置かれていた写真には、FBIと書かれたジャケットを羽織ったオスカルと一人の男性が写っていた。癖っ毛の金髪に空のような青い目をしている。

「ああ……。彼はアルフレッド・ホワイト、俺の友達だった人だ」

「だった?」

何故過去形で話すのか、それはオスカルの表情から絆は何となく察した。オスカルの顔から笑みは消え、どこか寂しそうに見える。

「二年前に殉職したんだ。同期で、一緒に頑張ってきたんだけどね」

絆に同情されたい、そんな軽い思いから彼がこんなにも重い話をする人ではないということは、ほんの少しではあるものの彼を見ていた絆にはわかる。オスカルは今、心の奥底から、アルフレッドの死を悲しんでいる。そして、その悲しみは癒えていない。

「……ねえ、絆、わがままを一つだけ言わせて?」

今にも泣き出してしまいそうな表情で、オスカルは絆を見つめる。瞳が絡み合った瞬間、絆の胸がトクンと音を立てた。