「光里姉、戻ってきて!結婚して幸せにならなきゃ!光里姉!!」

絆はそう叫ぶも、脈は戻ってこない。そして、数分後に駆け付けた救急隊員が胸骨圧迫を代わったものの、光里の心臓が再び動き出すことはなかった。

胸骨圧迫をし続けて手を痛めてしまった絆は病院で処置を終えた後、呆然としながら処置室を出ると、外ではトレンチコートを羽織った刑事が立っており、光里のことを訊ねられる。

「絆さん、光里さんのことでお聞きしてもよろしいですか?」

「……はい」

光里は何者かによって殺害されたと聞かされた。部屋が荒らされていたことから、強盗による犯行による可能性が高いと言われた。

「必ず、犯人を捕まえますので」

刑事はそう言うと、絆に背を向けて去って行く。その後ろ姿をただ絆はぼんやりと見ていた。

「光里!!光里!!ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

光里の婚約者はただ泣き崩れ、絆は声をかけることすらできなかった。そして、光里の婚約者は病院の窓から飛び降り、自ら命を絶った。