そして、話し合いから二ヶ月ほどが経った頃、絆は光里に連れられてホテルを出た。

「光里姉、どこに行くの?」

「これから絆のパスポートを作ってロンドンに行くよ。私と一緒に暮らそう」

ロンドンーーーそれは、密かに絆が憧れていた都会だ。光里が手を差し出し、絆は躊躇うことなくその手を取る。

絆は、光里と共に遠い海の向こうにある異国へと飛んだ。



イギリスの2LDKのアパートで絆は光里と共に暮らし始めた。日本語がどこにもない場所での生活は大変だったものの、光里に支えられてきた。

「お花があるとちょっと気分が上がる気がして、買ってみた」

「絆はハリネズミが好きって言ってたでしょ?だから、刺繍してみました!」

「私、レモンティーが大好きなの!よかったら、一緒に飲も?」

「この曲、すごくおすすめ!歌詞がめちゃくちゃいいんだ!」

カウンセラーとして働いている光里に、絆はいつも心を救われていた。少しずつ英語が話せるようになり、学校で友達ができ、いつしか光里がいる心理学の世界に興味を持つように絆はなっていた。