どれだけ冷たく絆があしらおうと、ニコニコと幸せそうにしながら近付いてくるオスカルを思い出し、絆の中に今度は違った怒りが生まれてくる。

(あの人、本当にしつこい!)

もしもFBIの上の人間と知り合いならば、彼にキスをされた時点で知らせていただろう。追っている事件に対する怒りではなく、オスカルに対する怒りに満たされながら講義が終わった。

講義が終わると、荷物をまとめて講義室を出て行く人、友達と喋る人、体をグッと伸ばす人、スマホを触る人など、様々だ。絆は次の講義があるため、メモ帳やペンケースなどをかばんに入れていた。

「絆!」

肩を叩かれ、絆は振り返る。テイラーがそこにはいた。次の講義も彼女と一緒のため、講義室まで一緒に向かう。

「ねえ、今度どこか遊びに行かない?」

「いいわね!どこ行く?」

「ん〜、映画とかどうかな?」

「私、ちょっと気になってる映画があるの!これなんだけど……」