懐かしい日々を思い出すたびに、絆の目の前はぼやけてしまう。大切な人の笑顔は突然奪われた。未来も、何もかもが一瞬で消えてしまった。絆はあの日を思い出すたび、心は悲しみでいっぱいになる。だが同時に、怒りも感じるのだ。あんなことをした人物を許せるはずがない。

(だけど、どうして……)

必死にこれまで犯罪心理学を学んできた。その道に進みたいわけではない。ただ、あんなことをした人物を突き止めたかった。だが、本当に知りたいことは何も見えず、知りたくないことに触れてしまう。

(解決したい事件は解決できずに、解決したくない事件を解決してしまったんだろう……)

もしも、アメリカの事件を解決に導かなかったら、きっとここにFBI捜査官が来ることはなかったはずだ。そして、あのオスカルにキスを奪われることも、ストーカーのようなアプローチを受けることもなかっただろう。

『絆、今日も可愛いね。君に会えて俺は世界一幸せ者だよ。今日は一日中幸せだね』