すぐに二人に否定され、絆は肩を落とす。絆がどれだけ拒否しようと、オスカルは自分が都合のいいように受け取り、時には絆の言葉を無視して、優しくも強引な手段を取るのだ。

同じFBI捜査官の二人なら、と淡い期待を抱いていた絆だったが返ってきた言葉に撃沈してしまう。

「だって彼、いつもあなたのことばかり話してるのよ。絆のどこが可愛い、こんなところでデートしたい、絆のことを何か知っている人がいたら教えろ、そればっかり」

「オスカルさんの暴走を止められる方法があるとするなら、絆さんが我々に協力してくれることじゃないかと思います」

エマとジョージにそう言われ、絆はため息を吐く。レポートのあの時しっかりまとめなければ良かったと後悔しているほどだ。

「絆、そう落ち込まないで。これを飲みなさい」

アーサー教授が優しい笑みを浮かべながらマグカップを手渡す。その中身はいつもの紅茶ではなくコーヒーだった。

「あれ?今日は紅茶じゃないんですね」