心の中にできた傷を誤魔化そうと絆はオスカルのブラウンの髪をそっと撫でる。艶がありサラリとした髪を撫でていると、オスカルの目がゆっくりと開いた。

「絆?」

「はい、オスカルさん」

絆がオスカルの名前を呼ぶと、彼の緑の目が大きく開かれる。次の瞬間、絆は強く抱き締められていた。

「オ、オスカルさん!?」

突然のことに絆は驚く。数秒間、オスカルは何も言わなかった。だが、鼻を啜る音と嗚咽が絆の耳に届く。

「よかった……。目が覚めてくれて、本当によかった……」

心からの安堵の声に、絆の胸が強く締め付けられる。オスカルがこれほどまでに心配してくれたことに対し、申し訳なさもあったものの、嬉しさや幸せを感じる自分もいて、感情が入り混じっていく。

「オスカルさん、ご心配おかけしてしまい申し訳ありません」

「本当だよ!一週間も意識が戻らなかったんだから!」

子どものように泣くオスカルの背中を、絆は優しく撫でていく。前は警戒していたオスカルとの身体的接触が、いつの間にか絆自身の心を落ち着かせる薬のようなものに変わっていた。