FBI捜査官たちが絆の元にやって来てから早二週間、絆はため息を吐きたくなった。その原因は今、目の前にある。

「絆、今日も君は素敵だね。そのパステルイエローのワンピース、すごくよく似合ってるよ。あとそのバレッタも可愛い。全部、絆のために用意されたものみたいだね」

カフェでのバイトが終わり、カフェから出てきた絆を待ち伏せしていたかのようにオスカルが飛び出し、ただ今口説かれているところだ。通行人にジロジロと見られ、絆の顔はときめきではなく恥ずかしさによって赤く染まっている。

「絆、バイト疲れちゃったでしょ?よかったら一緒にお茶しない?おいしくて可愛いケーキのあるカフェを見つけたんだ。一緒に行こうよ」

絆の手がオスカルに取られる。このままでは完全に彼のペースに流されてしまう、それに気付いた絆は慌てて手を振り解いた。

「やめてください、あたしはもう家に帰ります!ていうか、あたしはあなたにバイト先を一度も教えたことありませんけど。あたしのことを尾行したんですか?」