その後、エマの口からオスカルの話が出ることもなく、二時間ほど趣味の話などで盛り上がった後、絆はエマと別れて買い物を済ませ、アパートへと帰る。
アパートの前に来ると、絆はアパートを見つめながら立っている人物に気付いた。アーサーである。
「アーサー教授、あたしに何かご用ですか?」
このアパートに住んでいる大学生は絆だけだ。絆が声をかけると、アーサーは少し暗い顔をしながら絆の方を向いた。その目はどこか虚ろに見え、絆はゾクリと寒気を感じてしまう。
「絆、どこに行ってたんだい?」
「エマさんに誘われて、カフェに行っていました。その後はスーパーと薬局で買い物をしていました」
まるで取り調べを受けているようで、絆は緊張を覚えていく。アーサーは一歩ずつ近付いてくるため、絆は反射的に後ずさる。だが、絆の肩をアーサーは強く掴み、言った。
「カフェで何を話した?あの事件のことなのか?何か進展があったのか?」


