絆の心臓がドキッと音を立てる。デートという言葉を言われ、嫌でも絆の頭の中は忘れようと必死になっていたオスカルのことでいっぱいになっていく。

「デートというのは、尾行調査であたしたちがカップルのフリをしていた方が自然なのでそうなっただけです!決して、オスカルさんとお付き合いしているわけではありません!」

絆はそう慌てて説明をした後、昂ってしまった気持ちを落ち着かせるように冷たい水をグイッと煽る。その様子をジッと見ていたエマは、不思議そうに言った。

「オスカルね、いつだってすごく嬉しそうに、幸せそうに絆のことを話すのよ。あんな顔、FBIの誰も知らないわ。今のあなたもその時のオスカルと同じ目をしてるように見えたんだけど……」

捜査官は時に犯人と心理戦を繰り広げることがある。犯罪を何としてでも隠し通そうとする犯人の動作を観察し、発した一言一句を頭に記憶し、心理学と自分たちの経験から犯人を自白させていく。人を観察してしまうのは、彼ら彼女らの癖のようなものなのだ。