絵本がモチーフになっているカフェは、外見は絵本の中に登場していそうなノスタルジックな家のようである。そのカフェの前でエマはすでに立っていた。絆は慌てて走り出す。

「エマさん、お待たせしてすみません!」

「絆、走らなくてもいいのよ?」

走ったため、絆の息は荒くなっていた。呼吸を整えている絆の頭をエマは優しく撫でる。そして絆の呼吸が落ち着いた後、ドアを開けた。カランコロンとドアにつけられたベルが鳴る。

「さっ、早く入りましょ?こんなカフェに行くの久しぶりだから、すごくわくわくしてるの」

「あたしも、カフェでお茶できて嬉しいです」

カフェに入るとすぐに席に案内され、二人はメニューを見る。エマはカフェラテとザッハトルテを、絆はハーブティーとレモンタルトを頼んだ。

店員が持って来てくれたお冷を絆は一口飲む。少し乾き始めていた喉が潤い、ホッとしている絆にエマが訊ねた。

「ねえねえ、最近オスカルが「絆とデートした」って騒いでるの。あなたたち、付き合い始めたの?」

「えっ、そんなわけないじゃないですか!!」