重大な事件ばかりを扱う組織だからこそ、簡単に踏み込んではいけないのだ。きっと事件の犯人像を分析できたのはたまたま、絆はそう思いながらパンツを握り締める。

ウィリアム、エマ、ジョージの三人は絆の表情をしばらく見た後、「まあ仕方ないよね」とエマが口を開く。

「いきなり他国の捜査機関がやって来て、「協力して」なんてびっくりしちゃうよね」

エマが笑みを浮かべながら言うと、ウィリアムが名刺を取り出し差し出してくる。

「協力の話は、じっくり考えてみてほしい。いつでも連絡待ってるからね」

「は、はぁ……」

正直、受け取りたくはない。だが名刺を受け取らなければ彼らが帰ってくる気配はなく、絆はゆっくりと名刺を受け取ろうと手を伸ばす。だが、その手はオスカルに掴まれてしまった。

「えっ……」

絆が顔を上げれば、シリウスのように煌めくオスカルの瞳が目に映る。優しく微笑んでいたオスカルの顔は拗ねた子どものようになっている。